DLT(DonorLeukocyteTransfusion)について
今 村 謙 二(兵庫・CML・兄から移植)
私の病歴
移植半年後のマルク検査で、細胞遺伝学的再発です、といわれたのは8月26日、先生からの電話でした。すぐに病院へ行き、今後の治療法について確認しました。
先生はCMLの再発にはDLTがもっとも効果的。これをしましょう、とのことでした。
移植後再発した患者の治療法についての文献や資料は皆無でした。もちろんその時はDLTとは何?でした。もしどなたかの参考になれば幸いです。
DLTとは…
ドナーリンパ球輸注療法。同種骨髄移植後の再発患者に対し、ドナーのリンパ球を輸注して、再発を治そうとする治療で、比較的新しい治療です。ドナーのリンパ球を体内に注入することで、再発して増殖を始めた白血病細胞をリンパ球がやっつけ、移植した正常な血液に戻す治療、といえばわかりやすいでしょうか。
どんな治療をするのか…
ドナーから、血液中のリンパ球を採取し、患者の血液に輸注します。輸血と一緒です。ドナーの方は2~3時間、リンパ球だけを採取する為血管に針を入れて我慢していただきます。(献血で成分献血をされた方はその時を思い出してください。同じ要領みたいです。)私は前処置も化学治療も何も行わず、入院してすぐにリンパ球を入れました。そして後はリンパ球が白血病細胞をやっつけてくれるかマルクで検査をしました。
バンクからの移植の方もドナーがリンパ球の提供を了承してくだされば、この治療を受けられるそうです。
治療中の体の変化は…
治療中、いつどんな変化が起きるか、はっきり分かっていないようです。私も最初の1ヶ月半は体には変化が起きませんでした。週末には外泊、入院中も点滴はせず(発熱などがあれば違っていたようです)、なぜ入院してるのかと他の患者さんによく言われました。先生も2ヶ月くらいは様子見ないと効果は人により違う、とおっしゃいました。
輸注5週間後の採血で突然白血球が半分に下がりましたが、骨髄には変化なし、そろそろ2回目のリンパ輸注を考えようかと相談していた輸注7週間後に骨髄に改善の兆しが見え、それと同じにGVHDも出てきました。
GVHDとGVLについて…
GVLとはリンパが白血病細胞をやっつける良い作用。GVHDはリンパが私の体に起す言ってみれば悪い作用です。この2つは切っても切れないらしく、私の場合もほぼ同時に2つの効果が現れました。
GVL・ 今まで改善されなかった染色体異常(フィラデルフィア)の数値が突然改善され始めました。陽性75%が25%に減少。最終的にはほぼ0に近い寛解状態になりました。
GVHD・口内炎とドライアイが徐々に出てきました。皮膚にも症状(かさつきなど)。私は出ていませんが他に肝機能障害、腸炎、そして造血細胞への作用だそうです。造血細胞を攻撃されると、血液を造ることが出来なくなり、結局命を落とすことにもなりかねないそうです。また何も起きない人もいるそうです。
おおまかですが、DLTについて書いてみました。最後に、病気の治療は化学療法、移植、などがありますが、どんな治療にせよいったん始めたら絶対治してやる、という強い気持ちを持続してください。強い薬を使い体をいためつけ、免疫力も低下するので体力的にも精神的にもきついダメージを受けます。発熱や下痢、感染症などいろいろ予定外のトラブルも出てきます。でもそこでだめだ、と思うと病気に呑み込まれます。病気を治すのは医者でも看護婦でもありません。自分自身です。闘いぬいて、勝利を勝ち取りましょう。
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